2023/12/10

231209川崎0(8PK7)0柏(天皇杯 Final)★

川崎0(8PK7)0柏(国立競技場, 14:05KO, 62,837人)

第103回天皇杯決勝は、J1リーグ最終節鳥栖戦(J1 #34)から中5日。
 ACLは残っているが、国内大会としては今シーズン最後となる。
 国立競技場のチケットは完売で、良く晴れている。

他チームの移籍情報が流れる中、J1リーグが終わった翌週の開催。
 元日開催だと12月第1週から間隔が空くので、ちょうど良いスケジュール。

川崎にとって、3度目の天皇杯決勝。
 170101鹿島2-1川崎(天皇杯 Final)
 210101川崎1-0G大阪(天皇杯 Final)★

今年の天皇杯は、6試合目となる。
 230607川崎3-1栃木C(天皇杯 R64)
 230712川崎2-1水戸(天皇杯 R32)
 230802川崎1-0高知(天皇杯 R16)
 230830新潟2(3PK4)2川崎(天皇杯 QF)
 231008川崎4-2福岡(天皇杯 SF)


先発は、鳥栖戦から4人が変わる。
 新たに大南、瀬古樹、家長、ダミアンが先発する。
 ジェジエウ、遠野、小林悠、瀬川はベンチに回った。

ベンチにはシミッチが入り、高井と山田新が外れた。
 マルシーニョが引き続きベンチ外となっている。


柏レイソルは、J1リーグ6勝15分13敗、勝ち点33の17位。
 最終節名古屋戦(J1 #34)でJ1リーグ残留を決め、川崎と同じ中5日。

天皇杯は、1人の選手は1つのチームでしかプレーできない。
 犬飼智也(13)は浦和(J1)、山田雄士(36)は栃木(J2)でプレーしている。
 また、LSBジエゴ(5)は名古屋戦で退場したため、出場停止となった。
 この3選手は名古屋戦で先発しているが、今日は出場できない。

今季の対戦は、川崎の1勝1分。
 230528川崎2-0柏(J1 #15)
 231029柏1-1川崎(J1 #31)

■1st half
柏は川崎のビルドアップを完全に封じる。
 2FW細谷真大(19)と山田康太(11)が橘田へのコースを消しつつCBに向かう。
 SBには小屋松知哉(14)とマテウス・サヴィオ(10)が素早く寄せた。

川崎は1人飛ばすようなパスができず、中盤につなげない。
 最終ラインで追い込まれてはロングボールを蹴った。
 ダミアンを目掛けるが、パスの精度は低くキープできない。
 セカンドボールへの寄せも柏の方が早く、劣勢となった。

柏が前半を通じて押し込み続ける。
 サヴィオのドリブルで左から崩し、何度も抜け出す細谷にラストパスを狙う。
 CKも7本とたくさん蹴って、LSB片山瑛一(16)もロングスローを入れた。

■2nd half
柏のプレスは、少し落ちついてくる。
 サヴィオや小屋松のプレスが遅くなり、SBに少し余裕が生まれる。
 ただ、アンカー橘田は細谷と山田の裏に隠されたままで、パスを受けられない。

2CB山村と大南、GKソンリョンはつなげる場面でも遠くに蹴る。
 コンパクトな陣形を保ったままの柏が、簡単にボールを回収した。

69分、細谷が決定的なチャンスを迎える。
 サヴィオのクリアボールで抜け出すと、大南が背後から手で引っ張る。
 細谷は体勢を崩しながらも、踏ん張って前進を続ける。
 最後のトラップが流れてしまい、GKソンリョンが先にキャッチした。

87分、シミッチを投入して2ボランチとする。
 橘田と並びながら、シミッチがCBからボールを受けて組み立てる。

90+9分、サヴィオの右CKが左サイドに流れる。
 角度のないところから、片山がシュートした。

■extra time
延長に入ると、シミッチの配球が効いてくる。
93分、インターセプトした登里がすかさず左クロス。
 小林悠が頭で触ったが、ゴール右に外れた。

95分、シミッチがPA手前でサヴィオを倒してFKを与える。
 サヴィオが蹴ったFKは、手前の壁に当たった。

100分、片山が川崎のCBの背後を狙ってボールを入れる。
 細谷が抜け出したが、GKソンリョンが1対1からXブロックで止めた。
 こぼれ球を拾った細谷がクロスを入れるが、再度ソンリョンがブロック。
 最後は仙頭啓矢(41)がロングシュートを放った。

108分、山根の右クロスをゴミスがバイシクルシュート。
118分にも山根が右クロスをゴミスがヘッド。
 完璧なタイミングだったが、GK松本健太(46)がギリギリで止めた。
 さらに家長が詰めたが、これもGK松本が防いだ。

■penalty shootout
PK戦は川崎の先攻で、川崎4人、柏3人が連続で決める。
 柏4人目の仙頭啓矢(41)が外し、川崎5人目のゴミスをGK松本がセーブした。
 GK松本は川崎6人目の登里も止めてみせるが、柏6人目の片山瑛一(16)が外してしまう。
 PKを決めれば勝利できる場面で、川崎はゴミス、柏は片山が失敗した。

10人目は、ついにGKが登場する。
 ソンリョンがキッカーとして決めたあと、GK松本のキックをセーブした。
(古賀太陽(4)が負傷していたため、古賀とジェジエウが外れ、10人でのPK戦となった。)

川崎 ○家長昭博(41) ○瀬川祐輔(30) ○山村和也(31) ○橘田健人(8) ×ゴミス(18)
  ×登里享平(2) ○遠野大弥(17) ○山根視来(13) ○シミッチ(6) ○ソンリョン(1)
柏 ○マテウス・サヴィオ(10) ○細谷真大(19) ○戸嶋祥郎(28) ×仙頭啓矢(41) ○武藤雄樹(9)
  ×片山瑛一(16) ○山本桜大(45) ○川口尚紀(24) ○立田悠悟(50) ×松本健太(46)

■summary
柏は、特に前半はペースを握って優勢だった。
 細谷と山田のプレスは、後半になっても緩みが少なかった。
 最後までコンパクトさを失わず、川崎にシュートを打たせなかった。

これだけの強度のプレーを、天皇杯決勝の大舞台で披露した。
 リーグ戦でこれを続けるのは困難だと思われるが、しっかり照準を合わせた。

69分、細谷が頑張らずに倒れていれば、大南は退場となったと思われる。
 それでも細谷はファウルをもらうよりも、ゴールを目指した。
 結果を左右するほど重要なシーンだったが、素晴らしかった。

GK松本健太は、10人目のPKキッカーとなって失敗した。
 118分にゴミスの決定機を止めて、PKも2本止めた。
 結果は残酷だが、賞賛すべきパフォーマンスだった。


川崎は、良いところが少なかった。
 決定機は118分のゴミスくらいで、シュート自体も少なかった。
 パスワークもつながらず、ロングボールを蹴っては柏に渡してしまう。

それでも、失点することなく120分を終えた。
 粘り強く守り続け、新潟戦に続いてPK戦をGKソンリョンの活躍で勝ち抜いた。

■cup winner★★★★★★★
2020(2021)年に続く、2度目の天皇杯優勝。
 前回は縮小開催で準決勝から出場したが、今回は通常通り2回戦から。
 新潟戦と決勝戦の2度のPK戦を含んで、6試合に勝利した。
 来年からは、7つ目の星がユニフォームに登場する。

次は中2日、アウェイ蔚山現代戦(ACL GL #6)。
 ACLのグループステージ突破はすでに決まっている2023シーズン最終戦。
 しっかりターンオーバーして、若手に出場機会を与えたい。

■goal


■judge
ソンリョン(1) 8.5 100分、細谷との1対1を2度止める。自らPKを決め、10本目のPKをセーブ。
山根視来(13) 6.5 狭められたエリアをドリブルで打開する。108分、118分にゴミスへ右クロス。
大南拓磨(3) 5.5 厳しい状況では前線に大きく蹴った。69分、細谷を背後から手で止めにいった。
山村和也(31) 6.0 細谷へのロングボールに対応。100分、ボールに触れず、細谷の独走を許す。
登里享平(2) 5.5 山田や山本のアタックへの対応が続いた。86分、PA内に入った山本を止めた。
橘田健人(8) 6.0 細谷と山田の背後に隠されて、パスコースを作れず。53分、自陣からドリブル。
脇坂泰斗(14) 5.5 技術を活かせなかった。47分、FKを直接狙った。55分、イエローを受ける。
瀬古樹(16) 5.5 大南の右側に下がって組立てを試みたが、難しかった。40分、ロングシュート。
家長昭博(41) 5.5 12分、118分にシュート。90+5分、サヴィオと右サイドでの1対1でFK獲得。
ダミアン(9) 5.5 ポストプレーで孤軍奮闘した。40分、右サイドから左の瀬古樹へロングパス。
宮代大聖(33) 5.5 12分、13分、58分と左サイドから仕掛けた。29分、サヴィオからカット。

■sub
64(16)遠野大弥(17) 6.0 79分、瀬川の浮き球パスをボレー。FKやCKのキッカーを担当する。
64(33)瀬川祐輔(30) 5.5 90+6分、遠野の右クロスをヘッド。相手を抜いて左クロスを入れる。
77(9)小林悠(11) 5.5 93分、登里の左クロスに飛び込んでヘッド。負傷してゴミスと途中交代。
87(14)シミッチ(6) 6.0 CBからのパスを受けるため動き続ける。96分、111分にFKを与えた。
87(3)ジェジエウ(4) 6.0 柏の攻撃を止めるべく、機動的に飛び出した。PA内で強くクリアする。
106(11)ゴミス(18) 6.0 山根の右クロスから108分にオーバーヘッド、118分に決定的ヘッド。

■bench
上福元直人(99)

■coach
鬼木達 5.5 柏の攻勢を止められなかったが、無失点で耐え抜いて戴冠に導いた。

■referee
木村博之 6.5 軽めの接触プレーはノーファウル。ジャッジは一貫していた。

211,100views
AT+2+9+0+1


■おまけのフォトレポ

チョン・ソンリョン(1)と松本健太(46)が抱擁して、PK戦が始まる。

10人目のキッカーはGKとなった。
まずはソンリョンが蹴る。

続いて松本健太が蹴る。

ソンリョンが松本健太のキックを止めて、川崎の優勝が決まった。

PKを蹴ったあと、その場で座り込む松本健太を囲む柏レイソルの選手たち。

仰向けになって顔を覆う登里享平(2)。6人目のキッカーで失敗してからの優勝で、万感の思いがあったものと思われます。

松本健太を称える瀬川祐輔(30)。

シミッチ(6)とマテウス・サヴィオ(10)。

オーロラヴィジョン。

金のカブレラと龍のコスプレをした青いふろん太(7番目のタイトルにちなんだ神龍とのこと。)。

バックスタンドから観た優勝セレモニー。

バックスタンドに挨拶する松本健太。

紙吹雪が舞ったあと。

家長昭博(41)。移籍前の2回戦栃木シティ戦で先発したチャナティップ(18)のユニを着用。

山根視来(13)。同じく移籍前の栃木シティ戦で先発した小塚和季(49)のユニを着用。

特別指定の山内日向汰(32)。桐蔭横浜大学4年生。

佐々木旭(5)。高知戦で決勝ゴール。

レアンドロ・ダミアン(9)とジェジエウ(4)。
ゴール裏でのダミアンの挨拶は、契約満了の発表前でしたが、在籍5年間の感謝に溢れるものでした。