2018/10/25

181024川崎2-3山形(天皇杯 QF)

川崎2-3山形(NDソフトスタジアム山形, 19:00, 5,356人)

神戸戦(J1 #30)に逆転勝ちして中3日。
 2か月ぶりの天皇杯の準々決勝は、山形(J2)と対戦する。


先発には、神戸戦で出場停止だった守田が復帰。
 知念がベンチスタートとなり、赤﨑はベンチ外となった。
 昨年まで山形に在籍していた鈴木もベンチ入り。

神戸戦で守田と同じく出場停止だった阿部は、引き続きベンチ外。


山形はここまでのJ2リーグで10位。
 残り4試合で、プレーオフ圏内の6位まで勝ち点12差。
 6位になる可能性は極めてわずかになっている。
 天皇杯は、FC東京、柏とJ1チームを連破して8強入り。

かつて川崎に在籍した楠神順平(42)が、8月に期限付きで加入した。
 ただ、移籍元の清水で天皇杯に出場済みで、今日は出場できない。

山形がJ1に在籍していた2015シーズン以来の対戦となった。
2015シーズンには次の3試合があって、2分1敗だった
 150322山形1-0川崎(J1 #3)
 150520川崎1-1山形(YNC GL #5)
 150812川崎0-0山形(J1 #23)

■1st half
山形は5バック4ボランチでしっかり守る、密集戦術。
 素早く間合いを詰めるが、接触は少なく、ファウルをしない。
 川崎にボールを持たせつつ、パスコースをしっかり塞いだ。

そして少ないセットプレーの機会を生かす。
 2分、CKの流れから小林成豪(16)が競り勝って先制する。
 その後は川崎に圧倒的にボールを持たれるが、36分。
 安西海斗(20)のFKを坂井達弥(35)が合わせて2点目を奪った。

川崎は最終ラインではボールを持てる。
 しかし、山形が密集するエリアにパスが入らない。
 FW阪野豊史(11)がボランチ間のコースを消したため、バックパスが増える。

縦を狙っても、距離が長くなって受け手が苦しくパスをさばけない。
 左サイドの登里と齋藤が封じられ、右のエウシーニョに偏ってしまった。

■2nd half
後半開始から知念を投入し、小林と2トップとする。
 ただ、49分。谷口のパスがカットされると、そのままカウンターを許す。
 奈良と谷口が追ったが、2対2から阪野に3点目を決められる。

3点を追って、早めにクロスボールを入れる。
 56分に長谷川が入ると、左サイドからも仕掛けた。
 普段はじっくり崩していく局面でも、あえてクロスを選んだ。
 観ていて違和感はあったが、知念が競り勝ってチャンスを作った。

60分、CKから知念が1点を返したが、64分。
 山形のカウンターを受け、ソンリョンが汰木康也(25)を倒してレッドカード。
 1対1の決定機だったとはいえ、大きな判断ミスだった。

10人になっても、家長と中村のボランチで果敢に攻めていく。
 70分には長谷川の左クロスを知念がヘッドで決めた。
 苦しい状況でも1点差にすることはできたが、追いつけなかった。

■summary
山形は多人数で守りつつ、引きすぎずにラインを高く保った。
 そのため、川崎はオフサイドに多く引っかかってしまう。
 バイタルは山形の選手で溢れていて、ミドルシュートも打てなかった。

前半、山形は登里を積極的に狙ってきた。
 齋藤との距離が遠く、バックパスを選ぶしかない状況だった。
 そこで少しでも逡巡していると、あっという間に囲まれて奪われた。


山形のセットプレーとカウンターを防げなかった。
 81分にも汰木にループシュートをバーに当てられている。
 10人になるまで、川崎は全体的に動きが鈍く、走り負けた。


YLC決勝があるため、次は中9日の柏戦(J1 #31)。
 J1リーグは残り4試合と、佳境を迎えている。
 天皇杯を失ったことは痛恨といえる。
 ただ、しっかり休んで、良い内容のゲームを期待したい。

■goal
2小林成豪(16) 36坂井達弥(35) 49阪野豊史(11)
60,70知念慶(20)

■judge
ソンリョン(1) 3.5 キャッチやキックに精彩を欠く。飛び出しのタイミングを誤って退場。
エウシーニョ(18) 5.5 いつも通りのトリッキーなプレーで、右サイドから攻めた。
奈良竜樹(3) 4.5 カウンターの対処で失敗が続く。トラップとパスには工夫が見られた。
谷口彰悟(5) 4.5 唯一フリーのパッサーだったが、有効なパスを出せず、守備も光らず。
登里享平(2) 4.5 狙われて攻守ともに穴となっていた。長谷川とのコンビは良かった。
大島僚太(10) 5.0 プレスを受けて余裕を作れなかった。山形のブロックを打開できず。
守田英正(25) 5.0 走ってはいたが、ポジショニングが良くなかった。試合勘を戻したい。
家長昭博(41) 5.5 86分に長距離ドリブルで意地を見せた。ボランチでも機能していた。
中村憲剛(14) 5.5 下がってボールを受け、パスコースを探すが出しどころがなかった。
齋藤学(37) 4.5 左サイドを彷徨うだけで孤立した。味方を助ける動きができなかった。
小林悠(11) 5.0 強引にシュートまで持っていった。79分には右ポストに当てる。

■sub
HT(25)知念慶(20) 7.5 停滞するチームにあって圧巻の2ゴール。最終ラインを押し下げた。
56(37)長谷川竜也(16) 7.0 左サイドをドリブルで縦にえぐった。1アシスト。
66(10)新井章太(30) 5.5 ソンリョンのレッドで緊急出場。98分にはCKに参戦。

■bench
舞行龍(29) 田坂祐介(6) 下田北斗(22) 鈴木雄斗(27)

■coach
鬼木達 5.0 先発のセレクトは失敗したが、知念と長谷川の投入で盛り返す。

■referee
荒木友輔 5.5 結果を左右しないジャッジ。後半ロスタイム8分は長すぎ。

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■おまけ

小林悠(11)と木山隆之山形監督。
2008年、J2水戸で木山監督のもと、拓殖大学からの特別指定で小林はプレーしました。

2点目を決めた坂井達弥(35)と中山仁斗(39)。

2018/10/21

181020川崎5-3神戸(J1 #30)

川崎5-3神戸(等々力, 19:00KO, 24,441人)

代表ウィークを挟み、ドローだった鹿島戦(J1 #29)から2週間。
台風で延期していた湘南戦(J1 #18)を含み、アウェイが3試合続いた。
等々力での開催は、名古屋戦(J1 #27)以来、1カ月ぶりとなる。









陸前高田かわさき修学旅行。
神戸の選手も一緒に記念撮影してくれた。



鹿島戦で退場した阿部と、累積警告4枚となった守田が出場停止。
また、車屋が左ハムストリング肉離れ、全治3~4週間となり離脱した。

先発には、鹿島戦で出場停止だった家長が復帰。
さらに、知念と齋藤が入った。
小林は鹿島戦で左足首を負傷し、代表を辞退したが、先発する。

ベンチには新たに赤﨑、田坂が入る。














神戸はJ1リーグでは11位。
アウェイ(J1 #11)では、1-2で川崎が勝利している。
夏にFCバルセロナ(SPA)からアンドレス・イエニスタ(8)を獲得。
吉田監督を解任し、リージョ新監督となっている。

■1st half
13分、小林のPKで先制するが、神戸の時間が続く。
イエニスタとルーカス・ポドルスキ(10)で中盤を作った。
状況を確認しながら、プレスが来ればダイレクトで戻す。
プレスが来なければ前を向き、味方の動きを促してパスを出した。
ハイボールはウェリントン(17)がしっかり受けとめて、ボールを握る。

15分、オウンゴールで追いつかれる。
エウシーニョのクリアが奈良の背中に当たって跳ね返った。

さらに古橋亨梧(16)と三田啓貴(7)にゴラッソを沈められる。
どちらも素晴らしいゴールで、あっという間に3失点を喫した。

川崎は2トップを諦め、小林を右ウィングに配置。
家長を中央に据えて、いつもの4-5-1にすると、ボールが回るようになる。
43分、大島が大胆なドリブルからクロスを入れ、家長がボレーで合わせて1点差となった。

■2nd half
川崎が押し込むが、神戸もパスをつないで反撃する。
一方的な展開とはならずに、お互いに攻め合った。

ただ、川崎の流動性を受けて、神戸が後手に回りはじめる。
中盤が緩んできたため、CBが簡単に吊り出されてしまう。
その空いたポジションを埋め切れず、川崎に狙われた。

65分、家長からのパスを左サイドで受けた齋藤が同点ゴール。
PA内でDFに囲まれながら、少し左に動いてからシュートを決めた。

神戸はますます足が止まり、川崎のパスワークが冴える。
69分には家長のヒールから、大島が小林とのワンツーで逆転。
DFの密集地帯を完全にこじあけた、中央突破の美しいゴールだった。

さらにエウシーニョが1人で持ち込み、5点目を決める。
ロスタイムには長谷川や小林も決定機を迎えた。

■summary
イエニスタとポドルスキは、やはり技術が素晴らしい。
トラップやパスに無駄がなく、川崎のプレスを簡単にはがした。
2人のおかげで周囲に余裕が生まれ、良い攻撃ができていた。

しかし、逆に守備では2人が課題となっていた。
走らない選手を抱えていては、きちんとしたプレスはできない。
後半、時間が進むにつれて全体的にも動けなくなっていった。

リージョ監督の交代策も、奏功しなかった。
明らかに運動量が低下していたのに、交代は逆転を許してから。
それもDFを2人続けて投入するもので、意図が読めなかった。










試合後インタビューを受ける齋藤学。



川崎は2トップでスタートしたが、機能しなかった。
トップ下が不在となり、ボランチからのパスの受け手が少ない。
ただ、前半途中で1トップに戻すと、いつものリズムとなった。

J1リーグは残り4試合。
2位広島が敗れたため、勝ち点4差の首位となった。
引き続き、焦ることなく目の前の試合でベストを尽くしていきたい。

次は中3日、アウェイでの山形戦(天皇杯 QF)。
水曜日のナイターで、観戦するには寒いかもしれない。










DJ KOO氏。



■goal
13PK小林悠(11) 43家長昭博(41) 65齋藤学(37) 69大島僚太(10) 76エウシーニョ(18) 
15OwnGoal 28古橋亨梧(16) 35三田啓貴(7)

■judge
ソンリョン(1) 5.5 3失点とも難しかったが、欲をいえば1つは止めてほしい。
エウシーニョ(18) 5.5 オウンゴールで神戸に勢いを与える。ダメ押しのゴールで挽回。
奈良竜樹(3) 6.0 落ち着いて周囲と連携しながら守っていた。パス出しも良かった。
谷口彰悟(5) 6.0 ウェリントンとハイボールを競り合う。キープされても粘り強く防ぐ。
登里享平(2) 7.0 10分、PKを獲得。ドリブルが冴える。73分にはカウンターを止める。
大島僚太(10) 7.5 家長とエウシーニョのゴールをアシストし、決勝ゴールも決めた。
中村憲剛(14) 6.0 スペースを見つけてロングボールを供給する。守りもまずまず。
家長昭博(41) 8.0 圧倒的なドリブルからラストパスを狙った。1ゴール1アシスト。
齋藤学(37) 6.5 単独で仕掛けて1ゴールを奪う。パスのチームで特異な攻撃を見せた。
小林悠(11) 6.5 2連続で失敗していたPKを決める。90+4分にはポストに当てた。
知念慶(20) 6.0 強い体幹を活かしてポストプレーを成功させる。シュートも多かった。

■sub
81(37)長谷川竜也(16) 5.5 90+4分、ループシュートを上に外す。
86(10)下田北斗(22) 5.5 88分に相手ボールをカット、90分にミドルシュートを放った。
87(22)鈴木雄斗(27) 5.5 89分、インターセプトからドリブルで右サイドを駆け上がった。

■bench
新井章太(30) 舞行龍(29) 田坂祐介(6) 赤﨑秀平(9)

■coach
鬼木達 6.5 2トップは失敗だったが、1トップに変更して逆転勝利に導いた。

■referee
西村雄一 5.0 ボールに触れたことが川崎の4点目につながる。これ以外は悪くなかった。

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2018/10/07

181007鹿島0-0川崎(J1 #29)

鹿島0-0川崎(カシマサッカースタジアム, 13:00KO, 31,798人)

長崎戦(J1 #28)に勝利して、J1リーグで首位に立った。
ACLで勝ち上がっている鹿島との対戦は日曜日で、中8日。
キックオフは13時。
強い陽射しで気温も高く、過酷な気候となった。














先発は長崎戦から2人変更。
家長が累積警告で出場停止で、知念がベンチスタートとなる。
阿部と、左ハムストリング肉離れから戻ってきた守田が先発に復帰する。
ベンチには、新たに新井と齋藤が入った。















鹿島はACL準決勝第1戦が水曜日にあって、中3日。
J1リーグでは川崎と勝ち点11差の3位となっている。

等々力での対戦(J1 #9)は、4-1で勝利。
その後移籍するエドゥアルド・ネットと大久保がゴールしている。
ルヴァンカップ準々決勝(YLC QF #1, #2)は、2戦合計2-4で鹿島が勝った。

■1st half
鹿島は中央を4バック2ボランチで固めて守る。
そのぶんサイドは空いていて、特に右からエウシーニョが何度も攻め込んだ。
8分、エウシーニョのクロスを小林が合わせて左ポストに当てる。

鹿島の攻撃はカウンター主体。
セルジーニョ(18)と鈴木優磨(9)が縦に突破を狙ってきた。
2人に迫力はあったが、後方からのサポートが薄く、ゴールの可能性は低かった。

36分、小林がチョン・スンヒョン(5)をPA内で上手く抜き去る。
背後からチョンが小林を掴んで倒し、PKを得た。
しかし、右下に蹴ったPKは、GKクォン・スンテ(1)に弾かれる。

■2nd half













後半は、鹿島がプレスを仕掛けてきた。
川崎のパスを封じて、縦に蹴らせてボールを回収する。

暑さのため中盤が緩み、カウンターを仕掛け合う。
さらに両チームの頼みはセットプレー。
鹿島が8本、川崎が5本のCKを得たが、決定機を作れない。

69分、CKのクリアボールを中村が再度、クロスを入れる。
フリーの阿部がヘッドするが、ここもGKクォン・スンテがセーブした。

90+1分には、川崎のCKからの鹿島のカウンターを、阿部が止める。
2枚目のイエローとなり、阿部は退場。
ロスタイムの5分間、鹿島はCKと内田篤人(2)のロングスローで攻め込んだ。
10人となった川崎だったが、何とか耐えきった。

■summary
鹿島は守ってカウンターのスタイル。
セルジーニョと鈴木が、谷口と奈良に勝負を仕掛ける。
カウンターかセットプレーで1点を得られれば、勝つチャンスはあった。

ただ、どちらかといえば、負けないことを優先したプレー。
審判を取り囲み、異議を執拗に繰り返し、時間を使った。


川崎は暑い気候で、ボールも走らない中、可能性の低いパスを選択しがち。
もっとパス交換を続けながら、チャンスを待ちたかった。

それでも8分の小林、69分の阿部と決定機を作り、PKも獲得。
悪い内容ではなく、ドローは残念だったが、妥当な結果。
ケガから復帰した守田は、それほど機能しなかった。

J1リーグも残り5試合。
勝ち点で並んでいた2位広島が敗れたため、勝ち点1差となった。

アウェイが3試合続いたが、次はホームで神戸戦(J1 #30)。
阿部と守田が出場停止となるが、家長が復帰する。
下田も起用して、いい内容を見せてほしい。

■goal

■judge
ソンリョン(1) 6.5 機会は少なかったが、CKやクロスボールをしっかりパンチング。
エウシーニョ(18) 6.0 右サイド深く入り込みチャンスを演出。後半は守備に追われた。
奈良竜樹(3) 6.5 ハイボールを競り合うが、冷静さもほしい。23分、中村のFKをヘッド。
谷口彰悟(5) 6.5 2人のFWによるカウンターを防ぎ、セットプレーをクリアし続けた。
車屋紳太郎(7) 6.0 66分、75分と縦に仕掛けてクロス。最後は引いて守り切った。
大島僚太(10) 6.0 79分、ドリブルで中央を突進する。これ以外は落ち着いたプレー。
守田英正(25) 5.5 ボールを受ける動きを繰り返す。ただ、キラーパスは通せなかった。
阿部浩之(8) 5.0 19分、69分、73分とシュート。攻守に活躍するが、イエロー2枚で退場。
中村憲剛(14) 5.5 下がってはパスを出し、前ではプレスを仕掛けた。CKでチャンスを作る。
登里享平(2) 5.5 2分、クロス性のシュート。珍しく1対1のドリブルでボールを失った。
小林悠(11) 6.0 8分にポストに当て、36分にはPKを獲得したが決められなかった。

■sub
66(25)知念慶(20) 5.5 73分にポストプレー。77分にPA内で粘ってクロスを入れる。
82(11)長谷川竜也(16) 5.5 カウンターを狙う。90分、ドリブルでキープする。
85(2)鈴木雄斗(27) 5.5 右MFに入ったが、低い位置でのプレーが続いた。

■bench
新井章太(30) 舞行龍(29) 下田北斗(22) 齋藤学(37) 

■coach
鬼木達 5.5 日程の有利さを活かせなかったが、最低限の結果を得た。

■referee
村上伸次 5.5 PKも阿部のレッドも妥当。川崎寄りだったが、後半は鹿島寄りに。

75,900views