2016/07/31

160730湘南2-3川崎(J1 #23)

湘南2-3川崎(Shonan BMWスタジアム平塚)

FC東京との多摩川クラシコ(J1 #22)に勝利してのアウェイ湘南戦。
J1リーグで年間及び2ndステージの首位に立っている。

先発はFC東京戦と同じ。
大塚は8試合連続、橋本は3試合連続で先発。
それぞれレギュラーを掴んでいる。
28日の練習で負傷したとの情報があったエウシーニョも出場。
サブもまったく同じ顔触れ。

湘南はここまで年間16位で3連敗中。
前節欠場したFW高山薫(23)が復帰。
特別な黒い「七夕記念ユニフォーム」で登場。
実際に見るのは初めてだったが、10シーズンを迎えるとのこと。

1stステージでの対戦は、3月5日、等々力で4-4(J1 #2)のドロー。
ボールをキャッチしたソンリョンへのチャージが流された影響で失点を重ねる。
柏から移籍してきたエドゥアルドが、終盤のパワープレー要員で川崎デビュー。
現在、長期離脱中の森本が最後に同点ゴールを決めるなど、かなり昔の印象。

■1st half
湘南は予想通り激しいプレスを仕掛ける。
1トップのFW端戸仁(17)、2シャドーの高山、FW大槻周平(19)が激しい勢いで走る。
前線と連動しながら、ラインを上げてコンパクトに戦う。

しかし、川崎は湘南のプレスを苦にしない。
絞られた狭いパスコースに向かってダイレクトパスを果敢に通す。
湘南は縦にパスを通されると、そのままゴール前まで運ばれて勝負されていた。

18分、MF石川俊輝(16)の右からのクロスに高山が合わせるが、ゴールは入らない。
湘南は前半だけで5本、CKを獲得する。
FKも含め、MF下田北斗(22)とMF藤田征也(14)の2人がボールに近づく。
トリックプレーなどいろいろな工夫が見られたが、決定機は作れなかった。

32分、川崎が右サイドから攻撃を仕掛ける。
右側に湘南の選手を寄せておいて、中央の中村が左サイドの車屋に展開。
藤田が車屋に向き合うが、藤田の背後には大きなスペースが空いている。
スピードに乗ったメイア・ルアで藤田を華麗に抜き去ると、GK村山智彦(1)と1対1。
村山はニアに寄りすぎてしまい、車屋は大きく空いたファーサイドに左足でゴール。
大久保が最後に触るが、車屋のゴールと認められ、プロ公式戦初ゴールとなった。

■2nd half
後半、高山はキャプテンマークを黄色から青色に変えた。

48分、中村が前方のスペースに向かって素晴らしいスルーパス。
走りこんだ車屋のクロスは、大久保の足元にぴたりと届き、そのままゴール。

2点差となると、湘南はプレスが鈍くなる。
前線を2枚交代して、フレッシュな選手で再び走り出そうとする。
しかし、60分。橋本の右からのCK。
中央で小林がヘッドで叩き付けて3点目が生まれる。
川崎にとってこの日唯一のCKだったが、決めきった。

3点差となって、ようやく湘南は反撃を始める。
余裕を持った川崎は、省力化を図ってラインを上げない。
そのためカウンター主体の攻撃となる。
選手間の距離が開いて、ボールを持つ時間が短くなった。
ボールを回そうとしても、湘南のプレスにひっかかる。
川崎は選手交代に伴って、システムを何度も変更したが、奏功しなかった。

湘南は63分にFW大竹洋平(7)、90分にDFアンドレ・バイア(4)がゴール。
あと1点まで迫ったが、足が止まった川崎を相手に同点にはできなかった。

■summary
湘南は3点を失うまでいいところがなかったが、その後は素晴らしかった。
63分に大竹のゴールが生まれると、チーム全体の活力が復活。
それまでもたくさん走っているのに、さらに精力的に走り続けた。
走行距離が短いはずの川崎の方が、先に動けなくなった。
称賛に値するハード・ワークを見ることができた。
見ごたえのある楽しいゲームを作り出した。

川崎は選手交代がうまくいかなかった。
武岡で守備を固めるのは良かったが、エドゥアルドの投入で最終ラインが混乱する。
最初は谷口をボランチに上げたが、ボールが持てないとみると谷口を下げて3バックに。
するとボランチに下がる中村がバイタルを空けるため、湘南の攻撃を受け続けた。

ロスタイムにはボールをつなぐことを諦める。
クリアボールを前方に割り切って蹴り出すだけ。
風間監督になってからは記憶にないスタイルで、1点差を守り切ることに専念した。

2位鹿島、4位広島が敗れ、それぞれ勝ち点差が8と17に広がる。
3位浦和は勝利。勝ち点5差を保ち2位に浮上した。
J1リーグは残り11試合。
第26節では浦和との直接対決がある。
次の甲府戦(J1 #24)、鳥栖戦(J1 #25)で勝ち点を積み上げ、大島の帰還を待ちたい。

■goal
63大竹洋平(7) 90アンドレ・バイア(4)
32車屋紳太郎(20) 48大久保嘉人(13) 60小林悠(11)

■judge
チョン・ソンリョン(1) 5.5 大竹のゴールは触ったものの止められず。26分、バックパスの対応でミスあり。
エウシーニョ(18) 6.0 短いドリブルで攻撃のバランスをとった。きちっと戻って守備でも活躍する。
井川祐輔(4) 5.5 順調だったが、3点差となってからのシステム変更を統率しきれなかった。
谷口彰悟(5) 5.5 高い打点のヘッドで湘南のクロスを跳ね返した。ボランチでは生きなかった。
車屋紳太郎(20) 7.5 素晴らしいゴールとアシストで勝利を導く。攻守にスピードを生かした。
中村憲剛(14) 6.5 車屋へのパスを2本供給。13分、ミドルをポストに当てる。最後は動けなくなった。
エドゥアルド・ネット(21) 6.5 ハイボール処理で競り勝ちながら、縦に攻撃的なパスを繰り出した。
小林悠(11) 6.0 完璧なヘッドで6戦連続ゴールを決める。ボールを受ける機会が少なかった。
大塚翔平(27) 5.5 技術の高さは見せたが、特徴あるプレーができなかった。埋没してしまう。
橋本晃司(7) 6.0 小林のゴールをCKでアシスト。16分にFKをバーに当てるなど、キッカーとして光る。
大久保嘉人(13) 6.0 ワンタッチで、らしいゴールを決める。パスも正確だが、決定機に絡めなかった。

■sub
66(27)武岡優斗(17) 5.5 守備に奔走。77分にPA近くでファウルを与えるなど、不安定さも見られた。
75(18)エドゥアルド(23) 5.0 アンドレ・バイアに高さで78分、90分と競り負ける。ラインを上げられず。
80(7)田坂祐介(6) 5.5 88分、大久保のクロスをヘッド。ゴールラインを割ったように見えたが、判定はノーゴール。

■bench
新井章太(30) 森谷賢太郎(19) 中野嘉大(22) 三好康児(26)

■coach
風間八宏 6.0 湘南の勢いに交代策やシステム変更で対抗したが止められず。しかし、勝利を得る。

■referee
家本政明 5.5 中立的だがファウルやイエローの判定が多い。88分の田坂のゴールの判定は難しい。誤審は技量的に当然。

2016/07/24

160723川崎1-0FC東京(J1 #22)

川崎1-0FC東京(等々力)

ドローの磐田戦(J1 #21)で連勝は4で止まった。
ただ、年間順位2位の鹿島、3位浦和も引き分けて、差は詰まらず。
4位広島、5位横浜Fマリノス(2ndステージ首位)、6位G大阪、7位大宮もドロー。
首位の川崎も含めて、上位陣が足踏みした第21節だった。

第22節はFC東京との第28回多摩川クラシコ。
オリンピック代表に大島と原川が招集されて最初の試合。
2週前の名古屋戦(J1 #19)で3~4週間のケガをした中村が早くも復帰。
大島の抜けたボランチに入った。
ベンチからは登里と原川が外れ、森谷と中野が入った。

FC東京はここまで年間10位。
DF室屋成(6)とMF中島翔哉(39)がオリンピック代表で抜けた。
1stステージ、味の素スタジアムでの対戦(J1 #7)は、2度リードされながらも4点を奪って逆転勝ちした。

■1st half
川崎がボールを持って押し込んでいく。
特に左サイドで、重層的なパスワークを構築する。
車屋がサイドライン沿いに張って、大塚と橋本が近寄っていく。
中村も加わり、ショートパスで攻撃していった。

FC東京は4バック4ボランチの守備的な布陣。
サイドは空けて、中央を2ラインで狭く締めてくる。
ただ、2トップのFWムリキ(11)とFWネイサン・バーンズ(16)は守備で追いかけない。
そのため、中村とネットが余裕を持ってボールを持てた。

4分には大塚がポスト、15分には橋本がバーに当てるシュート。
川崎は決定的なチャンスは多かったが、FC東京のブロックの動きが早く、決まらない。

35分、MF米本拓司(7)が右ヒザを痛める。
MF高橋秀人(4)が突然投入されたが、中盤のバランサーとして機能した。

■2nd half
後半もFC東京はしっかり守ってくる。
右MF河野広貴(17)と左MF東慶悟(38)がアップダウンを繰り返す。

60分、大塚に代えてエドゥアルドを投入。
CBに入れて、谷口をボランチに、中村をトップ下へとそれぞれ1列上げる。

井川とエドゥアルドのCBの連携が整う前の65分。
高橋から2人の間に出された長いスルーパス。
オフサイドを狙った井川の動きにエドゥアルドが遅れてしまい、ムリキが飛び出す。
絶体絶命の1対1となったが、ソンリョンが落ち着いて右手でブロックした。

この直後、谷口と中村を再び1列下げて、3バックとする。
中央のエドゥアルドを井川と谷口が挟んで、FC東京のカウンターを封じていく。

FC東京は両サイドの上下動が鈍くなり、バイタルも空いてくる。
67分、小林がバーに当てて、74分には大久保の決定的なシュートをGK秋元陽太(47)が防ぐ。
川崎が攻勢を続ける中、81分。
橋本のFKの流れから、車屋が左サイドからクロス。
小林がDF森重真人(3)に競り勝ってヘッドでゴールを決めた。

FC東京は85分にFW平山相太(9)を入れて同点を狙う。
ロスタイムに2回、平山がロングボールをさばいてチャンスを作ったが、ゴールは入らなかった。

■summary
川崎は中村が復帰したものの、大島が離脱。
大島はチームの中心として活躍していただけに、戦力ダウンは否めない。

それでも、引いてきたFC東京の守備を打ち破って勝利することができた。
バーやポストに3回当てて、最後は小林が決勝ゴール。
大久保の決定力が落ちているのは気がかりだが、悪くない結果。

FC東京の城福浩監督はこの試合の結果、解任された。
3年前まで指揮を執ったランコ・ポポヴィッチの攻撃サッカーは魅惑的だった。
ただ、結果を出せなかった。
そこで守備的なマッシモ・フィッカデンティを招聘。
フィッカデンティは、守備を整備して攻撃はカウンター頼り。
見ていて面白くはなかったが、J1リーグで4位になり、ACLプレーオフの権利を得た。
それなのにフィッカデンティと契約延長せず、城福を選んだ結果がこの7月の解任。
首尾一貫しない監督選びで、迷走を繰り返している。

■goal
81小林悠(11)

■judge
チョン・ソンリョン(1) 7.0 65分、ムリキの決定機を止める。素晴らしいストップで勝ち点3を呼び込んだ。
エウシーニョ(18) 6.0 左サイドで東を抑え込みながら、きっちり攻撃にも顔を出した。
井川祐輔(4) 6.0 安定していたが、エドゥアルドとのペアは成熟が必要。77分、FKを与えるファウル。
谷口彰悟(5) 6.5 ハイボール処理やシュートブロックで守り切る。ロングボールも供給。
車屋紳太郎(20) 6.5 決勝アシスト。多くのクロスを供給。50分にはカウンターを防ぐ。
中村憲剛(14) 6.0 ケガ明けでの出場。運動量は少なかったがゲームをコントロールした。
エドゥアルド・ネット(21) 6.5 攻守に貢献度大。59分にバーンズを倒してイエローをもらう。
小林悠(11) 6.5 多くのチャンスに絡みながら、最後に5戦連続ゴールを決めた。
大塚翔平(27) 6.0 ショートパスの起点となる。ボールを持って前を向く機会が少なかった。
橋本晃司(7) 6.5 ゴール前に位置取りシュートを多く放つ。15分のバー直撃シュートは惜しかった。
大久保嘉人(13) 6.0 中盤に落ちてラストパスを供給。いいタイミングのシュートもあったが入らなかった。

■sub
60(27)エドゥアルド(23) 5.5 65分にムリキに決定機を与えてしまう。その後は鬼気迫る守備を見せた。
82(7)武岡優斗(17) 5.5 右ウィングに入る。ドリブルで時間をうまく使った。

■bench
新井章太(30) 田坂祐介(6) 森谷賢太郎(19) 中野嘉大(22) 三好康児(26)

■coach
風間八宏 6.5 後半、めまぐるしくポジションを動かして、ついにゴールを奪う。3人目の交代枠を残した。

■referee
佐藤隆治 6.0 ファウルとイエローの判断が的確だった。

2016/07/18

160717磐田1-1川崎(J1 #21)

磐田1-1川崎(ヤマハスタジアム)

2ndステージは3連勝。
15,165人収容のヤマハスタジアムのチケットは完売。
海の日の3連休の中日、日曜日18時30分キックオフ。
前節新潟戦(J1 #20)が水曜日に開催されたため、中3日が2試合続く。

新潟戦の先発から三好が外れ、橋本が左MFに入った。
三好も橋本も新潟戦で良いパフォーマンスを見せた。
中村がケガで離脱したポジションを巡って、健全な競争が行われている。
福岡戦(J1 #16)でケガをしたエドゥアルドがベンチに復帰し、板倉が外れている。

磐田はここまで年間10位。
ホームでの対戦(J1 #14)は88分のオウンゴールで勝利している。

■1st half
磐田はカウンター主体の攻撃。
少ない人数でスペースを広く使いながら、MFアダイウトン(15)とFWジェイ(8)を走らせる。
ワンツーでDFを剥がしながら前に向かう。
4分にアダイウトン、45+2分にジェイがシュートするが、ソンリョンがセーブする。

川崎はボランチが長くボールを持てない。
ネットと大島にマークが付き、パスコースが消される。
そのため、パスのスピードとタイミングが速く、崩し切る前にボールが前に入る。
小林と橋本が抜け出しを狙うが、オフサイドトラップに多くかかる。

16分、ネットから小林にロングボールが通る。
きれいなトラップでGK志村滉(31)をかわしたものの、無人のゴールへのシュートはポストに弾かれた。

■2nd half
後半、湿度が高い中、疲れが見え始める。
しかし、動き出しは遅くなりつつもレベルの高さを保つ。

53分、DF中村太亮(2)からのパスにMF川辺駿(40)が走り込む。
左サイドからのマイナスの折り返しをジェイがきれいに合わせて先制。
サイドに振られたため、CBのポジションが中途半端になる。
中央に入り込んだジェイがフリーとなってしまった。

64分。大島が小林へスルーパス。
小林は何度もオフサイドになっていたが、ここはラインの内側で我慢することができた。
きれいなトラップで抜け出して、GKをかわして同点ゴールを決める。

両チームともに疲弊が強くなり、カウンターが増え間延びしてくる。
川崎は大島を中心に、ショートパス主体の攻撃を仕掛けていく。
しかし、磐田の守備も最後まで動きが止まることがなかった。

■summary
磐田の最終ラインは出色の出来。
DF森下俊(35)、DF大井健太郎(3)、DFパパドプーロス(44)の3バック。
果敢にラインを上げてオフサイドを狙う。
16分、64分と小林へのスルーパスが通るが、ひるむことがなかった。

また、ウィングバックの守備も良く、川崎の両サイドからの攻撃を封じた。
特に右サイドではパパドプーロスとMF太田吉彰(9)が車屋を抑え込んだ。

川崎は暑い中、いつもどおりのクオリティは保てなかった。
磐田がコンパクトな陣形を敷いたため、中盤にスペースがなかった。
サイドにもスペースがなく、攻撃手段が限られた。
ボランチから最前線にスルーパスを狙ったが、距離が長くオフサイドとなってしまう。
短いパスを増やすため、もっと中央でパスを回してもよかったかもしれない。

守備では中盤のサポートが十分ではなく、最終ラインはカウンターの脅威にさらされた。
それでも素晴らしかった磐田に対して優勢に試合を進め、結果はドロー。
暑さの中、両チームともレベルが高く、見応えのある内容だった。

■goal
53ジェイ(8)
64小林悠(11)

■judge
チョン・ソンリョン(1) 6.5 安定したセービングで貢献。ジェイのゴールは止めるのが難しい。
エウシーニョ(18) 5.5 15分、CKからミドルシュート。パスもトラップもミスが目立つ。
井川祐輔(4) 5.5 カウンターを浴びるとバランスを崩して中央を空けがちだった。
谷口彰悟(5) 5.5 27分、ジェイを倒してイエロー。1対1でボールを奪取できなかった。
車屋紳太郎(20) 5.5 サイドにスペースがなく、内側に入り気味。橋本と合わなかったか。
大島僚太(10) 6.5 前線へのスルーパスを繰り返す。オフサイドも多かったが、得点を生んだ。
エドゥアルド・ネット(21) 6.0 マークが付きながらも正確なロングボールを供給。中央の守備を固める。
小林悠(11) 6.5 何度もDFラインの裏を狙う。チャンスの数を考えれば1ゴールは少なかった。
大塚翔平(27) 5.5 ボランチからボールを受けるが前を向けず。50分、大久保へスルーパス。
橋本晃司(7) 5.5 オフサイドが多すぎた。気の利いたセットプレーでチャンスを作る。
大久保嘉人(13) 5.5 81分、GKとの1対1を迎えるが決められず。シュートチャンスは多かった。

■sub
60(27)武岡優斗(17) 5.5 失点の可能性は少なくなったが、プレスを受けるとパスを繋げなかった。
76(18)三好康児(26) 5.0 投入直後にミスが続く。90+1分のシュートはブロックされる。
84(7)エドゥアルド(23) 6.0 復帰戦。CBの中央に座り、カウンターを抑えた。頼もしい守備。

■bench
新井章太(30) 登里享平(2) 田坂祐介(6) 原川力(15)

■coach
風間八宏 6.0 磐田のカウンターを封じるために手を打ったが、三好の投入は成功しなかった。

■referee
上田益也 6.5 中立的なジャッジ。的確なイエロー提示で試合を落ち着かせる。

2016/07/15

160713川崎3-2新潟(J1 #20)

川崎3-2新潟(等々力, 19:00KO, 14,432人)

2試合アウェイが続いてのホーム新潟戦。
年間順位は首位。2位鹿島が勝ち点2差、3位浦和が5差で追ってきている。

水曜日の19時キックオフ。
J1リーグの水曜日開催は5月4日の仙台戦(J1 #10)以来となる。
試合前に雨が降り湿度が高く蒸し暑いピッチ。
風もなく、気温は下がっているものの、酷なコンディション。

前節名古屋戦(J1 #19)の先発から中村がケガで外れ、三好が入る。
三好は柏戦(J1 #11)以来、J1リーグで2度目の先発出場となった。
ベンチには登里、板倉、原川が入り、狩野、森谷が外れている。

新潟はここまで年間15位と調子が上がらない。
川崎とは今季アウェイで2試合を戦い、1勝1分の戦績。
 160406新潟0-5川崎(YNC GL #3)
 160521新潟0-0川崎(J1 #13)

■1st half
新潟はバランスを保ちながらプレスを掛ける。
パスコースを消したが、5分ほどで川崎がプレスを苦にしなくなる。
川崎はゴール前まで簡単にボールを運び、狭いエリアでショートパスを繰り返す。
アイデア溢れる攻撃を仕掛けるが、崩しきれずシュートが少ない。

35分、新潟がカウンター。
FW山崎亮平(9)がクロスボールを落とし、走りこんだMF野津田岳人(37)がミドル。
ゴール左隅に決まる素晴らしいゴールが生まれた。

しかし38分。左の車屋からのパスを受けた大島がミドルシュート。
腰を落として打った低い弾道がゴールに突き刺さる。
野津田のゴールもすごかったが、それ以上に美しいゴールで同点にする。

前半、新潟はワンチャンスを決めた。
川崎は多くのチャンスを作ったが1点止まりだった。

■2nd half
後半となっても暑さは変わらず、オープンな展開となる。
中盤のつなぎが省略され、ゴール前からゴール前へとボールが目まぐるしく動く。

54分、右サイドからの三好のクロスがDF大野和成(2)の手に当たる。
ただ、近い距離で当たったためか、ノーファウルの判定。

65分、新潟に押し込まれる。
川崎がようやくボールを奪ったが、大島のパスが主審に当たる。
拾ったMFレオ・シルバ(8)がFWラファエル・シルバ(10)とのワンツーで抜けてゴール。
新潟にとっては高い位置からのショートカウンター。
川崎はボールを失ったあと動きが止まってしまった。

1点をリードされた川崎は、圧倒的に攻撃を仕掛ける。
左の車屋が中心となった。
さらに79分に田坂が入ると右サイドからもクロスを供給。
84分、ショートコーナーから大島とのパス交換で抜け出した橋本がクロス。
小林の手に当たってコースが変わったボールをMF小林裕紀(6)が蹴りこんでオウンゴール。

最後は90+4分。
車屋のクロスをPA内でネットが触り、小林がヒールでゴールに流し込む。
小林は明らかにオフサイドポジション。
しかし、旗は上がらなかった。

■summary
審判が結果を大きく左右したゲーム。
54分のハンド、84分のハンド、90+4分のオフサイドと多くの転機があった。
また、65分のボールカットは誤審ではないが、ゲームを動かした。

間違った判定で勝っても負けてもうれしくはない。
もちろん、すべてを正しく判定するのは難しい。
しかし、誤審に思われる判定は、なぜその判断を下したのかを明らかにしてほしい。


内容的には川崎が押し込んでいた。
新潟も決定力を見せ、少ないチャンスを生かしてリードしたが、後半、逆転を許した。
右SB松原健(27)が車屋を止められず、最後は左SB前野貴徳(5)も田坂にやられた。
交代策で中央の守備を固めたが、両サイドで突破を許し、体力を消耗した。


川崎は判定に救われての逆転勝ち。
J1リーグで通算200勝となった。

中村が欠場する中、2度のビハインドを追い付き、逆転した。
後半、GK守田達弥(21)のビックセーブが続いたが、15位のチームから勝ち点を得た。

■goal
38大島僚太(10) 84OwnGoal 90+4小林悠(11)
35野津田岳人(37) 65レオ・シルバ(8)

■judge
ソンリョン(1) 6.0 2点目はチャンスはあったが止められず。47分、山崎のシュートを止める。
エウシーニョ(18) 6.0 49分に井川をカバーするなど守備は良かった。攻撃は輝かなかった。
井川祐輔(4) 6.0 疲労の蓄積からか、動き出しが鈍かった。ラインを積極的に上げる。
谷口彰悟(5) 6.5 山崎をタイトにマークしながら、広い範囲を的確にカバーリング。
車屋紳太郎(20) 7.0 松原を苦にせず、左サイドで自由に躍動。クロスの精度も高かった。
大島僚太(10) 7.0 素晴らしいミドルシュートだけでなく、中盤でチームを操縦した。
ネット(21) 6.0 74分のミドルはGK守田に防がれる。守りで最終ラインを助けた。
小林悠(11) 6.5 後半、多くのシュート。オフサイドが見逃され、芸術的なヒールで決勝点。
大塚翔平(27) 6.0 走りまくって献身的に守備をしながらも、パスの交接点となった。
三好康児(26) 6.5 車屋と組んで何度も仕掛けた。後半はペースが鈍る。セットプレー担当。
大久保嘉人(13) 6.5 シュートは枠に飛ばなかったが、パス、ボールキープとよいプレーができていた。

■sub
55(27)武岡優斗(17) 6.0 1対1の強さで右サイドを引き締める。あまり仕掛けなかった。
63(26)橋本晃司(7) 6.5 トップ下に入って、同点オウンゴールを生むクロス。
79(18)田坂祐介(6) 6.5 停滞していた右サイドを活性化させ、逆転に導く。

■bench
新井章太(30) 登里享平(2) 板倉滉(28) 原川力(15)

■coach
風間八宏 6.5 田坂の投入で両サイドから攻撃を仕掛けて勝利を手繰り寄せた。

■referee
榎本一慶 4.0 線審の判定も含めて、微妙な判定で試合を大きく動かしてしまった。

2016/07/12

160709名古屋0-3川崎(J1 #19)

名古屋0-3川崎(パロマ瑞穂スタジアム, 18:00KO, 16,780人)

仙台戦(J1 #18)で年間首位に立った。
中6日で名古屋とのアウェイ。

先発は仙台戦とまったく同じ。
2戦連続ゴール中の大塚は、すっかり先発に定着した。

ベンチは、原川が外れて、狩野が入った。

名古屋はここまで年間15位と低迷している。
シーズン途中、C大阪から獲得したMF扇原貴宏(31)、FC東京からのMFハ・デソン(8)をいきなり起用した。

■1st half
川崎はワンタッチで次々とボールを動かす。
名古屋は連動したプレスを掛けてこない。
ボランチの扇原とMFイ・スンヒ(15)がラインを守れず、ずるずると下がる。
ブロックを作ろうとはしていたが、PA近くまで運ばれて攻撃を仕掛けられた。

15分過ぎから、名古屋の守備バランスが改善する。
川崎の選手間の距離を遠ざけて、ボールを奪えるようになった。
しかし、名古屋の攻撃は単発。
FWシモビッチ(9)を目掛けた単純なクロスは少なく、効果的な攻撃ができない。
川崎は素早いプレッシングで、危ない場面になりそうな芽を摘んだ。

36分、エウシーニョのスルーパスを小林が受けて、グラウンダーのクロス。
DFとGKの間を抜けるボールに大塚は触れなかったが、左サイドの中村がボールを拾う。
あらためて逆サイドからのクロスを、小林がヘッドで決めて先制。

■2nd half
後半になっても名古屋は打つ手がなかった。
なすすべもなく攻撃を受けて、53分。
左サイドの車屋から鋭いクロス。
大久保がコースを動かすために少し足に当てるだけの技巧的なゴールを決める。

3点目は77分。
小林の右サイドからのクロスをネットがいったん受けて、ラストパス。
中村の足元に届いたボールをゴール。

84分、イ・スンヒが中村に対して足首にタックル。
ボールに触れることができないタイミング。
さらには接触前に避ける動作も見られなかった。
故意に狙ったように見える悪質なプレー。
扇谷主審が即座にレッドカードを提示し、中村は負傷交代。

10人となった名古屋に対して、川崎は積極的に攻撃を仕掛けない。
追加点は必要ではなく、これ以上ケガ人を出すことはなかった。

■summary
名古屋は前半途中、15分ほど悪くはない時間帯があった。
しかし、残りの時間はずっと悪かった。
攻撃は個人の力に頼るばかりで連携が少ない。
守備はボールを奪うポイントが絞れず、ずるずるとゴール前に入られた。

チームの力を考えれば、名古屋は単純な戦術で勝ち点を拾うことが現実的。
シモビッチ、あるいは今日は欠場したFW永井謙佑(11)へのロングボールで攻撃して、ガチガチに守る。
年間16位となったが、降格争いを勝ち抜くためには大きな改善が必要。


川崎は仙台戦に続いての完勝。
調子を落としているチームを相手に勝ち点を積み上げた。
危なげなく守り切り、美しい崩しを繰り返して3点を生んだ。

中村が3~4週間のケガで離脱することとなった。
ケガをした状況を見れば、短くて済んだように思える。
大島と原川が近くオリンピックに向けてチームを離れることを考えれば、厳しい。
福岡戦(J1 #15)では中村が欠場し、ドローとなっている。
攻撃のアクセントやリズムを誰が生んでいくのかが問われていく。


■goal
36小林悠(11) 53大久保嘉人(13) 77中村憲剛(14)

■judge
ソンリョン(1) 6.5 42分シモビッチ、79分扇原のシュートを慌てずに防ぐ。
エウシーニョ(18) 6.0 MF野田隆之介(18)に狙われたが破綻せず守る。攻撃も良かった。
井川祐輔(4) 6.5 シモビッチを徹底して抑え込む。ラインコントロールも安定していた。
谷口彰悟(5) 6.5 ロングボールを正確に供給して局面を打開した。判断ミスがなかった。
車屋紳太郎(20) 7.0 縦へのスピードで左サイドを攪乱。DF矢野貴章(19)を抜きまくった。
大島僚太(10) 6.5 空いたスペースに素早くドリブルで入りこんでパスを出した。
ネット(21) 7.0 運動量多くハイボールを回収する。積極的に攻撃に顔を出した。
小林悠(11) 7.0 完璧な動き出しで1点目を決める。その直前のクロスも決定的だった。
大塚翔平(27) 6.0 顔を出す動きを続けてボランチと前線のリンク役となった。
中村憲剛(14) 7.0 アシスト、ゴールとも素晴らしかった。ケガが残念。
大久保嘉人(13) 6.5 コンディションが上がってきた。走り回ってボールをキープする。

■sub
78(27)武岡優斗(17) 6.0 3点差となってから投入。ゲームを落ち着かせた。
86(14)三好康児(26) 5.5 ロスタイムにチャンスがやってきたが、シュートせずパスを選択。
90(21)狩野健太(25) 5.5 第3節以来のJ1リーグ出場。ボランチに入り、CKを担当した。

■bench
新井章太(30) 田坂祐介(6) 橋本晃司(7) 森谷賢太郎(19)

■coach
風間八宏 6.5 内容を伴う快勝に導いた。交代は遅くなってしまった。

■referee
扇谷健司 5.0 ジャッジが川崎寄りで中立ではなかった。レッドカードは妥当。

2016/07/03

160702仙台0-3川崎(J1 #18)

仙台0-3川崎(ユアテックスタジアム仙台)

1stステージは鹿島に勝ち点1差の2位。
わずかな差で優勝を逃した。
優勝決定後の鹿島のメディアへの露出を見ると、大きなものを失ったように感じた。

2ndステージは中断期間がなく、大宮戦(J1 #17)の翌週スタート。
アウェイでの仙台戦は、大宮戦と同じ先発。
大宮戦で自ら途中交代を要求したネットも出場。
ベンチは6人が同じで、中野が外れ、橋本が入っている。

仙台は1stステージ10位。
川崎とは等々力での対戦(J1 #10)はドロー。
ヤマザキナビスコカップでも等々力で当たっている(YNC GL #6)。
大塚がレギュラーを掴むきっかけとなる2得点を決め、勝利した。

■1st half
川崎はボールを長くキープする。
仙台はプレスを掛ける意志はあったが、簡単にかわされる。
パスコースを限定できないため、大島とネットが前を向くことができた。
縦パスがどんどん入り、小林と大久保が最終ラインから飛び出していく。

17分、中央で大島がボールを保持。
仙台のプレスが遅く、ゆっくり考えてから右サイドの小林へロングボール。
DFの裏をとった小林が頭で折り返し、ゴール前に詰めた大塚があっさりとゴール。

続いて21分。
カウンター気味に小林、大久保、中村とパスがつながり、小林が右サイドに走り込む。
中村の絶妙なハイボールを、DFと競りながら小林が頭でゴール。
強いシュートではなかったが、GK六反勇治(1)が目測を誤ってしまった。

2点差となって、川崎は攻撃の手を緩める。
仙台は35分すぎからボールを回しながら押し込んでくる。
42分、MF野沢拓也(8)がGKとの1対1を迎えるが、ソンリョンにセーブされる。

■2nd half
顔を出す動きが少なかった大塚に代えて後半開始から武岡が入る。
右SBのエウシーニョが1列上がる。
2点差となっていたので、守備も重視した采配となった。

一進一退を繰り返しながら、ゆっくりと時間が進む。
仙台が押し始めるものの、決定機は作れない。

FWハモン・ロペス(20)がサイドでキープする。
囲まれてもボールを失わなかったが、中央でクロスを待つ選手が少なかった。

川崎はボランチから前にいいボールをつなげない。
前半は大塚がリンクマンとして機能していたが、後半は距離が開いてしまった。

87分、途中出場していた三好がドリブルから左足でゴール。
三好は去年、J3リーグでゴールを決めているが、川崎では公式戦初ゴール。

■summary
前半、2点を取った時点でゲームは決まった。
その後は川崎もペースを緩め、ゆったりとパスを回した。
緊迫する場面が少なく、余裕のある展開となった。

仙台はバイタルを大きく空けてしまった。
ボールへのチェックも後追いとなり、決定的なパスを出せる選手を自由にした。
大島、ネットだけでなく、中村、大塚がボールを操り、ゴールを決められた。
六反の出来が悪かったこともあって失点を重ね、攻撃の迫力も出せず、完敗だった。

鹿島が敗れたため、年間順位で首位に返り咲いた。
大島と原川がリオデジャネイロ・オリンピック代表に招集された。
今後、欠場が見込まれる。
まだまだ試合が続くが、ベストを尽くして勝ち点を重ねたい。

■goal
17大塚翔平(27) 21小林悠(11) 87三好康児(26)

■judge
チョン・ソンリョン(1) 6.5 守備機会は少なかったが的確にプレー。42分、野沢との1対1を防ぐ。
エウシーニョ(18) 5.5 攻守に渡り調子は上がらず。トリッキーなプレーを活かしきれない。
井川祐輔(4) 6.5 トラップ良く、パスが安定。42分、クリアが小さく野沢の決定機を生む。
谷口彰悟(5) 6.5 49分、69分とCKをヘッドで合わせるが入らない。守備は落ち着いていた。
車屋紳太郎(20) 6.5 11分、ひとりで左サイドを駆け上がってCKを奪取。ハモン・ロペスを抑え込む。
大島僚太(10) 7.0 攻撃の中心となりながら、さらにカウンターの芽を摘んだ。
エドゥアルド・ネット(21) 6.5 低い位置取りからパスを大島につなぐ。12分、深いタックルでボールを奪う。
小林悠(11) 7.0 1点目も2点目もDFの背後を突いてPA内に侵入した。1ゴール1アシスト。
大塚翔平(27) 6.0 先制点は見事なゴールだったが、少しずつ存在感を消した。前半で交代。
中村憲剛(14) 6.5 小林と三好のゴールをアシスト。自由自在にボールを操る。
大久保嘉人(13) 6.0 中盤に下がらず、前線でスペースを作り続ける。48分の決定機はGKに当てる。

■sub
46(27)武岡優斗(17) 6.0 守備を固める。攻め上がりは抑制的だった。
75(18)三好康児(26) 6.0 右ウィングに入る。積極的にシュートを放ち、待望の初ゴール。
88(11)橋本晃司(7) 6.0 短い時間だったが、スルーパスを受けてのシュート、CKとFKを蹴った。

■bench
新井章太(30) 田坂祐介(6) 原川力(15) 森谷賢太郎(19)

■coach
風間八宏 6.5 交代も的確で、良い内容のサッカーで良い結果を導いた。

■referee
家本政明 6.0 落ち着いたジャッジ。30分のDF大岩一貴(27)へのイエローは厳しい。