今シーズンを締めくくる第100回天皇杯決勝。
縮小開催のため、J1リーグ1位の川崎は、準決勝から出場する。
準決勝では、J3優勝の秋田に勝利(天皇杯 SF)した。
J2優勝の徳島に勝った、J1リーグ2位のガンバ大阪と中4日で対戦する。
チケットの一般販売は、コロナ禍の影響で中止となった。
先行販売と招待席だけとなり、約16,000席で開催される。
川崎にとって、2度目の天皇杯決勝。
4年前の決勝は、鹿島に敗れて準優勝に終わっている。
170101鹿島2-1川崎(天皇杯 Final)
先発は、秋田戦と同じ11人。
LSBには旗手が入ることとなる。
ベンチの7人も変わっていない。
G大阪は、J1リーグ2位。
天皇杯は準決勝から出場して、徳島に勝って決勝へ進出。
J1リーグでの対戦は、川崎のダブルだった。
200801G大阪0-1川崎(J1 #8)
201125川崎5-0G大阪(J1 #29)★
■1st half
ガンバはプレスを掛けず、5バックで引き籠る。
初めの10分を過ぎるとボールを運べず、自陣で守る時間が続いた。
川崎の強みである両サイドの家長と三笘には、スペースがなかった。
逆にガンバはサイドの攻防に人数を割かれ、5バックでも中央に隙間ができていた。
細かく縦パスを出し入れして、ガンバの守備を崩して突破していく。
15分にダミアン、16分に三笘、22分にダミアンがシュートする。
27分、サイドに流れた守田の右クロスを家長がヘッド。
30分、42分と山根が藤春廣輝(4)を鋭いドリブルで抜き去ってクロス。
43分、三笘が1人抜いてシュートするなど、圧倒的に攻め立てた。
ガンバはブロックを低い位置で組んで、耐える展開。
FWパトリック(18)にロングボールを入れる戦術だが、川崎に易々と回収される。
数少ないチャンスは28分、小野瀬康介(8)の右クロスをパトリックがヘッド。
■2nd half
後半も川崎が攻め続ける。
55分、ダミアンのラストパスを三笘が先制ゴール。
何度もシュートを止めていたGK東口順昭(1)の牙城を崩し、リードする。
ガンバは防戦一方で、自陣のパスも満足に繋げないまま。
しかし、74分に宮本恒靖監督が仕掛ける。
FW渡邉千真(39)と福田湧矢(14)を投入し、2トップとする。
代わりにLSB藤春とボランチ山本悠樹(29)を下げて、攻撃の人数を増やした。
4バックにすることで守備が安定し、川崎を押し込むことに成功する。
2トップのパトリックと渡邉がターゲットとなって、セカンドボールを拾った。
ボランチに動いた倉田秋(10)が、正確な縦パスを入れて、厚く攻撃を仕掛けた。
川崎はクリアするのが精一杯となり、オープンな展開に持ち込まれる。
82分、90+4分には長谷川が決定機を迎えるが、決められない。
ガンバは83分の渡邉、85分の宇佐美貴史(33)、90分の福田と決定機を立て続けに作った。
GKソンリョン、谷口とジェジエウを中心にゴール前を固めて、泥臭く逃げ切った。
■summary
ガンバは守りに徹する時間が長く、多くの決定機を作られた。
しかし、GK東口のセーブなどで、1失点で耐え凌ぐことに成功する。
最後の時間帯、ゴールは奪えなかったが、2トップで良い攻撃を見せた。
5バックは消極的にも感じたが、勝つためには悪くないプラン。
正面から川崎と戦うよりも、可能性はあったと思われる。
先に得点できれば、無失点で耐えれば、同点に追いつければ。
何らかのタラレバが起きていれば、延長そしてPK戦に持ち込めたかもしれない。
■cup winner★★★★★
川崎は天皇杯2度目の決勝で、初めての優勝を飾った。
今年は縮小開催のため、2勝だけで優勝に辿り着けるレギュレーション。
与えられた準決勝と決勝の2つの試合を勝ち切って、タイトルを獲得した。
カップ戦としては、2019年のYBCルヴァンカップに続く2度目の優勝。
2019年のYLCは、延長戦を経てPK戦での決着だった。
初めて90分間でカップ戦を制したこととなる。
1999、2004年のJ2リーグ。
2017、18、20年のJ1リーグ。
2019年のYLCに続く、7つ目のタイトル、5つ目の星。
そして、国内の3大タイトルをすべて制覇したこととなる。
2020シーズンは、これで全日程を終える。
J1リーグ優勝とともに天皇杯を獲得し、初めての複数タイトルを実現。
素晴らしいシーズンとなった。
■goal
55三笘薫(18)
■judge
ソンリョン(1) 6.0 83分、致命的なキャッチミス。82分、85分、90分にはビッグセーブ。
山根視来(13) 6.5 30分、42分と藤春を抜いてクロス。右サイドの攻撃の起点となっていた。
ジェジエウ(4) 7.0 パトリックへのロングボールを回収する。86分、身を投げ出してクリア。
谷口彰悟(5) 6.5 10分、パスミス。58分、FKをヘッド。83分、渡邉のシュートをカバー。
旗手玲央(30) 6.0 4試合目のLSBで、高い位置でプレー。3分、33分、44分にシュート。
守田英正(6) 6.5 どっしりと組み立てる。2分、田中碧へスルーパス。27分、右クロス。
田中碧(25) 6.0 2分、思い切り良くシュート。59分、DFを背負ったまま力強くシュート。
大島僚太(10) 6.5 ショートパスで切り崩す。15分、16分にラストパス。48分にシュート。
家長昭博(41) 6.0 27分、ヘッド。67分、76分、78分にもシュートを積極的に重ねた。
ダミアン(9) 6.0 15分、決定機。22分、28分に個人技でシュートに持ち込む。1アシスト。
三笘薫(18) 6.5 サイドでは埋もれていたが、16分、42分とシュート。55分、決勝ゴール。
■sub
79(9)小林悠(11) 5.5 プレスを仕掛ける。90+4分、ボールを奪い長谷川の決定機を作る。
79(18)長谷川竜也(16) 6.0 82分、90+4分に決定的なシュート。決めておきたかった。
86(30)車屋紳太郎(7) 6.0 混沌とした状況でLSBに入る。90+5分、試合を終えるクリア。
89(10)脇坂泰斗(8) 5.5 精力的にプレスした。ボールにほとんど触ることがなかった。
■bench
丹野研太(27) 山村和也(34) 中村憲剛(14)
■coach
鬼木達 6.5 ガンバを圧倒。巻き返されても冷静に逃げ切って天皇杯を獲得した。
■referee
木村博之 6.5 落ち着きのある適切なジャッジ。決勝に相応しく、素晴らしかった。
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