鹿島2-1川崎(市立吹田サッカースタジアム, 14:00KO, 34,166人)
大宮との準決勝(天皇杯 SF)から中2日。
川崎にとって初めての天皇杯決勝は、市立吹田サッカースタジアムでの鹿島戦。
天皇杯決勝としては小さな、収容人員が4万人弱。
例年よりもチケットが売り切れるのが早かったように思う。
スタンドは角度があるので、とても見やすい。
ただ、帰りのアクセスが厳しいスタジアムで、G大阪戦(J1 #9)では駅まで1時間以上かかった。
ネットが累積警告で出場停止となり、代わりに大島が先発する。
残りの10人は、FC東京戦(天皇杯 QF)から3試合変わらない。
ベンチには新たに大塚が入った。
試合前には「賀正」とスルガ銀行の富士山マークのコレオが登場。
鹿島はJ1リーグ年間勝ち点3位で、リーグ戦での対戦成績は1勝1分。
チャンピオンシップ(J1 CS SF)でも対戦して、負けている。
■1st half
鹿島はCSでの対戦とは異なり、プレスを掛けてこない。
ロングボールでFW赤﨑秀平(18)、FW土居聖真(8)に出しても、早く攻めてこない。
動きが鈍かったが、時間を使いながら体力を温存する。
川崎は大宮戦と異なり、パスをつないで崩していく。
ネットは攻撃時に最終ラインまで落ちるが、大島は中盤でボールを引き出す。
小林と登里との距離が近く、2人のポストプレーで上手くパスを回した。
20分、MF小笠原満男(40)が激高してピッチ上で中村を追いかける。
調子が上がらないチームを鼓舞するためだと思うが、見るに堪えない姿。
意図的にゲームを荒らす戦術だが、いつもながら残念な態度。
42分、MF遠藤康(25)の右CK。
ファーサイドのDF山本脩斗(25)が戻りながらヘッド。
車屋がマークしていたものの、身体を寄せきれずゴール左下に決まる。
■2nd half
後半開始から、登里に代えて三好を投入する。
プレスを仕掛けてボールを奪い、中央から攻撃する。
特に大久保のプレーは光り、トリッキーなショートパスをつないで崩した。
54分、三好のパスを受けた小林が右足を一閃して同点ゴール。
その後も小林はDF昌子源(3)との駆け引きを制していく。
ただ、58分、65分に迎えた決定機を決められなかった。
鹿島は徐々に攻撃陣が戻らなくなるが、最終ラインは高く維持する。
スルーパスの脅威を受けながらもコンパクトな陣形を保つ。
昌子とDF植田直通(23)が体力的にきつくても踏ん張ってチームを支えた。
川崎も中村と大久保の運動量が落ちていく。
三好もロストが多くなって、攻撃のリズムが失われていく。
■extra time
後半開始から、鹿島が攻勢を仕掛ける。
川崎はボールホルダーにプレスできず、クリアボールを拾われる。
崩された守備陣形を整えることができず、バタバタとした状態が続く。
鹿島は決定機を外していたが、ついに94分、MFファブリシオ(11)にゴールを決められた。
1点を追いかけて、森谷、森本を投入する。
しかし、ボールを受ける動きが少なく、効果的に攻撃ができない。
大久保は前線に張り付くだけ。
中村も守備では走れないため、森谷が走りまくってカバーする。
最後はエドゥアルドも前線に残り、2度のCKではソンリョンも攻撃参加。
ハイボールを入れるが、シュートチャンスは作れなかった。
■summary
鹿島はコンディションが悪かったが、効率的に体力を使った。
攻め急がずに時間を使いながら、延長開始からギアを上げて決勝点を奪った。
川崎は小林が1点を決めただけ。
何度も決定機を作りながらも外してしまった。
大久保も中村も、延長戦まで体力を残しておくことができなかった。
風間監督は、主力選手を外すことは最後までなかった。
大久保か中村を外していれば、違った結末もあったかもしれない。
しかし、それでも監督は美学を貫いた。
天皇杯は準優勝だったが、延長戦が3試合。
そのうち、浦和戦(天皇杯 R16)はPK戦で、紙一重で勝ってきた。
2016シーズンはこの試合で終了。
しっかり守備を構築したため、タイトルに近づくことができた。
見ていて楽しい試合は、いつも通り多かった。
■goal
42山本脩斗(25) 94ファブリシオ(11)
54小林悠(11)
■judge
ソンリョン(1) 5.5 2失点とも難しかった。93分、失点の前のプレーで、前に出る判断ミス。
田坂祐介(6) 5.5 右CBに入る。守備では破綻しなかったが、攻め上がる回数が少なかった。
エドゥアルド(23) 7.0 カウンター対応もカバーリングも素晴らしく、鉄壁の守備を見せた。
谷口彰悟(5) 6.0 赤﨑を抑え込んだが、押し込まれる局面では力を発揮できなかった。
大島僚太(10) 6.0 中盤でボールを散らす。27分、81分とミドルのチャンスに躊躇する。
中村憲剛(14) 5.5 ショートパスは良かったが、スルーパスを出せず。守備は機能せず。
エウシーニョ(18) 5.5 前半は右クロスで崩したが、後半以降は押し込まれてしまった。
車屋紳太郎(20) 5.0 1失点目でマークミス。後半、左サイドで三好を使って活性化する。
小林悠(11) 6.5 PA内で動いて何度も決定的なシュートを放つ。65分にはポストに当てる。
登里享平(2) 5.5 守備を意識しながら、ポストプレーもまずまず。前半のみで交代。
大久保嘉人(13) 5.5 後半途中まで素晴らしかった。が、徐々にボールに絡めなくなる。
■sub
HT(2)三好康児(26) 6.0 ドリブルで左サイドを崩した。少しずつボールロストが増えた。
98(6)森谷賢太郎(19) 6.0 ビハインドで投入。攻め上がる味方の背後を1人で守り続けた。
106(10)森本貴幸(9) 5.5 ボールを引き出したが、シュートは打てなかった。
■bench
新井章太(30) 板倉滉(28) 中野嘉大(22) 大塚翔平(27)
■coach
風間八宏 5.5 三好の投入で盛り返すことができたが、次の選手交代が遅かった。
■judge
松尾一 6.5 小笠原のキレ芸をカードなしで収束。妥当なジャッジを続けた。