2021/12/13

211212川崎1(4PK5)1大分(天皇杯 SF)

川崎1(4PK5)1大分(等々力, 14:00KO, 17,595人)

2021シーズンも、残すのは天皇杯のみとなった。
 J1リーグ最終節横浜Fマリノス戦(J1 #38)から、中7日の日程。
 準決勝は収容率100%の等々力で、大分トリニータと対戦する。
 全席使用する等々力は、コロナ禍前の2020年2月22日の鳥栖戦(2020 J1 #1)以来。


先発は、マリノス戦から2人が変わる。
 山村がRCBで、大島がIHで新たに先発し、旗手が左FWに回る。
 マルシーニョがベンチへ、マリノス戦で負傷した車屋はベンチ外となった。

ベンチには小塚と塚川が入り、宮城天が外れた。
 塚川は9月22日の鹿島戦(J1 #32)、小塚は10月2日のFC東京戦(J1 #31)以来のベンチ入り。
 負傷者が少ない時期にはベンチ外が続いていて、久しぶりのメンバー入りを果たした。


大分は、J1リーグ9勝8分21敗の19位。
 J2リーグへの降格と、片野坂知宏監督の退任が決まっている。
 増山朝陽(39)、呉屋大翔(33)、野嶽惇也(28)、梅崎司(27)は天皇杯登録外。
  いずれも夏に大分に加入し、前チームで天皇杯に出場しているため。
 刀根亮輔(41)は、天皇杯における累積警告のため、出場停止。

今シーズンの対戦は、川崎の2勝だった。
 210403川崎2-0大分(J1 #7)
 210809大分0-2川崎(J1 #23)

■1st half
大分はそれほどプレスを掛けず、撤退してゴール前を固めてきた。
 コンパクトでもなく、中盤やサイドにスペースが空いていて、川崎が攻めていく。
 特に大島がクリエイティブなプレーを披露して、観客を驚かせた。

ダミアンにボールが集まり、ダミアンが次々にシュートを狙う。
そして大分のGK高木駿(1)が、大活躍を見せた。
 25分の脇坂、27分の大島、45分の山村、45分の旗手のシュートを防いだ。

大分はほとんど攻撃できなかった。
 下田北斗(11)がタクトを振るうが、スルーパスはつながらない。

■2nd half
後半も川崎が圧倒的に押し込んでいく。
 CKやFKも数多く獲得して、脇坂が蹴り続ける。
 48分に山根、53分に脇坂、72分と79分にマルシーニョがシュート。
 75分にはダミアンがオーバヘッド。
 それでもGK高木駿が守るゴールを割ることはできなかった。

大分のチャンスはほとんどなく、耐え続ける。
 77分、GKソンリョンの処理ミスを奪い、下田北斗がシュートした。

■extra time
延長も同じような流れが続いた。
 選手交代を交えながら、川崎が攻め続ける。
100分、脇坂が強烈なミドルを放つが、GK高木駿がセーブ。
105分、家長のラストパスから小林悠が決定的なシュートを放つ。

スコアレスドローも色濃くなった113分。
 小塚の右クロスを小林悠が合わせ、川崎がようやくリードを奪った。
残りは7分とロスタイムだけ。
 あとは逃げ切るだけだった。
 しかし、遠野が負傷して数的不利となり、大分の逆襲を許してしまう。

120+1分、下田北斗が中盤からアーリークロス。
 前線に上がっていたCBエンリケ・トレヴィザン(14)が頭で合わせて、同点とされた。

■penalty shootout
川崎は、4人目の塚川が左ポストに当ててリードを許す。
大分の5人目、小林裕紀(6)は決めれば勝てる状況だったが、GKソンリョンが止める。
しかし、7人目の山根をGK高木駿が止めて、大分が決勝に進んだ。

大分 ○下田 北斗(11) ×長沢駿(20)  ○松本怜(7)   ○トレヴィザン(14)
   ×小林裕紀(6) ○三竿雄斗(3) ○町田也真人(8)
川崎 ○知念慶(20)   ×山村和也(28) ○小塚和季(17) ×塚川孝輝(3) 
   ○小林悠(11)  ○谷口彰悟(5) ×山根視来(13) 

■summary
大分は、狙いどおりのサッカーを120分間、続けた。
 113分に先制ゴールは許したものの、下田北斗の正確なキックで同点に追い付く。
 PK戦に持ち込んで勝利するというシナリオを完遂した。

多くのシュートを浴びながら、GK高木駿(1)が好セーブを続ける。
 PK戦では山村と山根の2本のPKを止め、勝利に導いた。

J2降格が決まっても、天皇杯に優勝すれば、ACLに出場できる。
 夢のある決勝進出であり、ぜひ、タイトルを獲得してほしい。


決勝進出が決まった直後の大分の選手たち。

泣き続ける旗手玲央(47)に寄り添う脇坂泰斗(8)。

川崎はGK高木駿の牙城を崩せなかった。
 中盤で圧倒的に支配することで、サイドを含めて攻撃を続ける。
 1トップのダミアンは厳しくマークされつつも、多くのシュートを放った。

延長での選手交代が奏功し、小塚のクロスを小林悠が決めてリード。
 120+1分の下田北斗のアーリークロスは、可能性が高いものではなかった。
 しかし、トレヴィザンが対峙する山村を制し、同点ゴールを決められた。


天皇杯は準決勝で大分に負け、2021シーズンが終わった。
 ACLの海外連戦や帰国後の隔離、等々力を使えない期間も長かった。
 8月に調子を落としながら、盛り返してJ1リーグのタイトルを獲得。
 ACLと天皇杯はPK戦で、YBCルヴァンカップはアウェイゴール数差で敗退した。
 いずれも紙一重だったが、今年のタイトルは1つにとどまった。

予定よりも1週間早いシーズンオフとなった。
 選手たちは身体をしっかり休めて、2022シーズンに向けて英気を養ってほしい。

■goal
113小林悠(11) 
120+1エンリケ・トレヴィザン(14)

■judge
ソンリョン(1) 6.0 96分、渡邉新太(16)のシュートを弾く。PK戦では小林裕紀を止めた。
山根視来(13) 6.5 GKやCBのパスの受け皿となる。48分、105+3分、110分にシュート。
山村和也(28) 6.0 正確なパスで組み立てる。45分、ループシュート。失点は防げなかった。
谷口彰悟(5) 6.5 90+4分、脇坂のFKをヘッド。力強いクリアを続け、臆せず前につないだ。
登里享平(2) 6.0 守備の間を狙ってスルーパスを通す。44分、左クロスをダミアンに届ける。
橘田健人(22) 6.0 中盤でボールを奪う。ゴールに直接つながるプレーをもっと磨きたい。
脇坂泰斗(8) 6.5 25分、縦に進んでミドル。100分にもミドル。セットプレーを多く蹴る。
大島僚太(10) 6.5 27分、ボレーシュート。40分、ユニフォームを引っ張られ、報復する。
家長昭博(41) 6.0 左サイドに出張ることが多かった。51分と100分に脇坂のCKをヘッド。
ダミアン(9) 6.0 17分、18分、28分、44分と積極的にシュート。75分、オーバーヘッド。
旗手玲央(47) 6.0 45分、64分にシュート。左FWではサイドに張り、ドリブルを仕掛けた。

■sub
65(10)マルシーニョ(23) 6.0 79分、決定機。111分、115分にカットインからシュート。
82(47)知念慶(20) 5.5 1トップ、そして2トップの一角でプレー。120+5分にシュート。
82(9)小林悠(11) 6.5 113分、ワンタッチで先制ゴール。105分に決定的なシュート。
109(22)小塚和季(17) 6.0 113分、山根のパスでPA内に走り込み、右クロスで1アシスト。
109(8)塚川孝輝(3) 6.0 空中戦を制して、セカンドボールを回収。ダイナミックにプレー。
109(41)遠野大弥(19) 5.5 右サイドから中を狙う。117分、足を負傷し、ピッチ外に去る。

■bench
丹野研太(27) 

■coach
鬼木達 6.0 109分の3枚替えで先制点を奪う。ただ、PKが得意な選手が減ってしまった。

■referee
松尾一 6.5 判断基準が分かりやすく、抑制的なジャッジ。素晴らしかった。

165,600views